マクロ経済的にはさまざまな問題を抱えていたなかで、ミクロ経済的な企業レベルでは、日本は長い間、特定の技術分野で中核的な強みを持ち続けているということなのです。
日本企業の強みを示すもう一つのデータがあります。
計1094品目(自動車、ロボット、医療機器、事務機器など「最終製品」812品目と、半導体、電池、先端材料など「キーテクノロジー製品」282品目)別に、「世界市場規模」と「日本企業の合計市場シェア」を調査したNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の報告です。
これによると、2020年と2021年に日本がシェア100%の製品は58品目もありました。シェア90%以上は94品目、シェア75%以上は162品目に達しています。
国際比較をすると、中国は75%以上のシェアを支配している品目はわずかです。台湾は60%以上を支配している品目はありません。韓国も、有機ELディスプレイ(世界市場の98%)を除けば、そうした品目はありません。
私たちが日常的に使う自動車から、飛行機、携帯電話、パソコン、電動歯ブラシまで、ほぼすべての製品が「ジャパン・インサイド」なのです。「ジャパン・インサイド」の表示を見かけることはありませんが、製品の品質向上のために欠かせない日本製の原材料や部品が用いられているのです。